スプラインシャフトの切削加工
スプラインシャフトとは、シャフトの外周にギアのような溝が刻まれた形状を持つシャフトです。
この溝が他の部品と噛み合うことで、効率よく大きなトルクを伝達する役割を果たします。
用途として、産業機械や自動車のドライブシャフト、駆動モーターなど幅広い領域で使用されています。
こちらの記事では、スプラインシャフトのメリットから切削加工におけるポイントまで解説いたします。
スプラインシャフトを使用するメリット
高いトルク伝達機能
スプラインシャフトの最大のメリットは、他のシャフトに比べて高いトルク伝達性能を持つ点です。
シャフトの外周に刻まれた溝が部品とかみ合うことで、
軸方向に変動しながら回転箇所のトルクを効率よく伝達することができます。
また、接触面全体でトルクを分散できるため、極端な負荷がかかる産業機械や自動車の駆動部分といった場面でも
安定した動力伝達が可能です。
耐久性が高く、長期間の使用が可能
スプラインシャフトは、耐久性においても非常に優れています。
シャフト全体の荷重を分散することができる構造になっているため、
集中荷重による摩耗が少なく、シャフトの劣化が抑えられることで、
産業機械や車両など、長時間稼働が求められる環境でも長い期間パフォーマンスを発揮することができます。
また、熱処理やメッキなどの表面処理をシャフトに施すことで、
耐摩耗性や耐腐食性をさらに向上させることが可能です。
コンパクトな設計が可能
スプラインシャフトは、他の回転伝達方式と比べてコンパクトに設計することが可能です。
例えば、キーやピンを用いる従来の方法では、部品が大きくなりがちですが、
スプラインシャフトはシャフトそのものに溝を刻むため、部品全体のスペースを抑えながらも
高いトルクを伝達することが可能です。
これにより、自動車や産業機械など、限られた空間に部品を収める必要がある設計において
安定的にトルクを伝達することができます。
動力損失が少ない
シャフトと部品の高精度なかみ合わせによって、動力伝達ロスが少ない構造となっています。
動力源からのエネルギーを効率的に使用することで、
結果として、駆動システム全体の効率が上がり、エネルギー消費の抑制につながります。
当社のスプラインシャフトの加工における特徴
ホブ盤による歯切加工(量産品の場合)
スプラインシャフトの他部品とかみ合う高精度の溝部分を形成するためには、ホブ盤を用いた歯切加工が有効です。
ホブ盤は、ホブカッターとシャフトを同期させて回転させながら加工を行うため、
同一形状の溝を連続的に切削でき、高い寸法精度を実現することができます。
NC旋盤による歯切り加工(少量品の場合)
少量品の場合は、NC旋盤で専用の刃具を用いて歯切り加工を行います。
当社では、ホブ盤とNC旋盤の両方を有しているため、ロットに応じて最適な方を選定し、
コストの最適化を実現しています。
熱処理による強度の向上
スプラインシャフトは高いトルクがかかるため、耐久性を高めるための熱処理が欠かせません。
一般的には、焼入れや焼き戻しなどの熱処理を施し、表面硬度を高めることで摩耗や疲労に強いシャフトが作られます。
特に産業機械や自動車部品に使用されるシャフトは、表面硬化処理を施して耐摩耗性を向上させることが
重要になります。
熱処理の際は、表面と芯材の硬度バランスを最適化し、表面の硬度は高くしつつ、
芯部は柔軟性を保つことで耐衝撃性と耐久性を兼ね備えた仕上がりを実現できます。
当社のスプラインシャフトの加工事例
こちらは、自動車部品のスプラインシャフトです。
当初はブローチ加工やスプライン加工でバリが発生しやすい形状でしたが、
バリが出にくい形状へのVE提案を行った結果、バリ取りにかかる工数の削減や工具の寿命延長を実現し、
コストダウンに貢献しています。
また、焼き入れやメッキによる寸法変化については、処理メーカーと連携して最適な条件を見出し、
高品質の維持を確保しています。
スプラインシャフトの切削加工は、特注シャフト・スリーブ加工.comにお任せください!
今回はスプラインシャフトの加工について紹介いたしました。
スプラインシャフトは優れたトルク伝達力や耐久性が高く、様々な業界で重宝されています。
当社mでは、スプラインシャフトだけでなく、様々な形状のシャフトの加工実績がございますので、
お困りの方はお気軽にご連絡ください。